AI時代 × 仕事 | 【書評】機械との競争 第5章 結論──デジタルフロンティア

Life shift20170320 01

[amazonjs asin=”B00ED7SB16″ locale=”JP” title=”機械との競争”]

はじめに

強力になる一方のテクノロジーが、人間の労働者のスキル、仕事、そして需要にどのような影響をおよぼすかを見てきた。そして、これまで人間にしかできないと考えられて来た領域をコンピュータがハイペースで浸食していると指摘した。
この現象は、憂慮すべきものである。なぜなら、経済の健全性を表す指標の一つは、働きたい人全員に職を提供できることだと、私たちは信じているからだ。
ここで強調したいのは、私たちはテクノロジーそのものにも、その影響にも、けっして悲観的ではないことである。

テクノロジーが雇用に与えるインパクトが思いのほか大きかったことである。
この問題に注目している人がほとんどいないとわかったことである。雇用と失業を巡る議論では、労働需要の低迷、アウトソーシング、労働移動性などは話題になっても、技術が果たしている役割にはさほど関心が払われていない。これは重大な見落としであり、ぜひとも正すべきだと考えた。

デジタル革命は何をもたらす

あらゆる情報は、デジタル化すると一段と可能性が拡がる。
デジタル情報の経済学とは、一言で言えば、希少性の経済学ではなく、ゆたかさの経済学である。
現時点ではいくつか憂鬱な問題があるとしても、やはり楽観的になってよいと信じる。

おそらく最も重要なアイデアは、メタアイデアである。すなわち、アイデアの開発と伝播をサポートするためのアイデアである。デジタルフロンティアは、まさにメタアイデアである。
このフロンティアでは、必ずやイノベーションのゆたかな実りを収穫できるだろう。私たちはその可能性に賭けている。

2001年の時点でデジタルフロンティアはすでに広大だったが、その後10年間で途方もなく拡大し、それまで以上に私たちの生活をゆたかなものにしている。
エコノミスト誌が「貧困国における携帯電話の普及は、産業を様変わりさせただけでなく、世界を変えた」と書いたのも、もっともだと納得がゆく。
デジタル技術は市場やビジネスのやり方を効率化することによって、消費者である私たち全員に恩恵をもたらしている。

人類の歴史には三回の産業革命があり、そのどれもが汎用技術を伴っていた。
第三の産業革命は、現在進行中である。この革命を導くのはコンピュータとネットワークだ。過去の二回の革命と同じく、今回の革命も完全に終わるまでには数十年を要するだろう。そして2回の革命同様、人類の発展の道筋を大きく変え、歴史を書き換えることになるだろう。
混乱や歪みは起きるだろうし、それを乗り越えるのはたしかに容易ではあるまい。

だが変化の大半はよいものであり、人類も世界もデジタルフロンティアでゆたかになると私たちは確信している。


Comments

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です