AI時代 × 人生100年時代 | 変革への課題

Life shift20170313 01

[amazonjs asin=”B01LYGI45Q” locale=”JP” title=”LIFE SHIFT(ライフ・シフト)―100年時代の人生戦略”]

自己意識

●アイデンティティ
寿命が延び、暮らしが豊かになると、多くの人がわが子に安全と教育を与えることができ、働くことによって金銭面の安定を手にでき、ある程度は余暇を楽しめる品たい生活を迎えられる時代が訪れた。
100年ライフの時代には、人生の時間は、繁殖という進化上の役割を果たすために必要とされるより長く、金銭面の安定を確保するにも十分すぎるくらいになる。自分が生まれた社会の伝統に従うのではなく、自らの価値観や希望に沿った生き方ができるようになれば、それ以上の「長寿の贈り物」はないだろう。
100年以上にわたりアイデンティティを維持し、人生の様々なステージに一貫性を持たせるのは容易ではない。
グローバル化された世界で外の世界とつながり、ローカルなアイデアとグローバルなアイデアの両方に触れている。その結果、自分が何者で、自分に何が可能なのかを認識する上で、多くのロールモデルをお手本にできる。ありうる自己像の選択肢も多くなった。
●計画と実験
100年以上にわたって生産的に生きる人生を設計するうえでは、計画と実験が重要になる。
計画と準備の重要性が増すのは、個人の成沢の幅が広額からだ。100年ライフの計画を立てるためには、自分がなにをしたいのか、どのようにそれを達成したいのかという重要な決断をしなくてはならない。問題は、正しい決断ができる場合ばかりではないことだ。だからこそ、計画と準備が大切になる。
ありうる自己像の選択肢が大きく広がく時代には、実験を通じて、なにが自分にとってうまくいくのか、自分が何を楽しく感じるのか、何に価値を見出すのか、何が自分という人間と共鳴するのかを知る必要がある。
●習熟
長い人生を生きるうえでは、何かに打ち込むことが重要だ。
物事に習熟するうえで鍵を握るのは、自己効力感(自分ならできるという認識)と、自己主体感(みずから取り組む、という認識)だ。

教育機関の課題

長い人生では学習と教育がいっそう重要になり、それに多くの時間を費やす人が増える。人生の早い段階での教育年数が増えるだけではない。人生のもっと後の段階でも、教育への真剣な投資がなされる。
教育産業は、どちらかといえば、保守的な産業だ。教育機関も変化を遂げる。しかし、歴史を振り返ると、その速度はたいてい遅い。
テクノロジーのイノベーションと長寿化の進行の影響により、教育という古い産業が大きな脅威にさらされているのは明らかだ。

■企業の課題
●無形資産に目を向ける
有形の資産と無形の資産に関して、企業が発するメッセージのバランスをとることだ。
●移行を支援する
従業員が人生で移行を経験しなくてはならないこと、そして移行を成功させるために必要な変身資産を構築・維持するのが容易ではないことを理解して、必要な支援を提供すること。
●マルチステージを人生の前提にする
キャリアに関する制度や手続きを見直して、3ステージの人生を前提したものからマルチステージの人生を前提にしたものへ改めること。
●仕事と家庭の関係の変化を理解する
仕事と家庭の関係の変化を理解すること。家族の形態が多様化し、マルチステージの人生を生きる人が増える時代になれば、企業は個々の職種ごとに働き手への要求事項を明確に、そして具体的に示すことが求められる。
●年齢を基準にするのをやめる
(企業にとっては非常に難しいだろうが)年齢に対する考え方を改めて、年齢を基準にすることをやめること。
●実験を容認・評価する
従業員にどのような働き方を認め、人材採用時にどのような経歴の持ち主を評価するかに関して、実験を容認・評価すること。
●人事の一大改革が必要
企業の人事部門の制度や手続きに一大改革が必要。
●現在、どこまで変わっているか?
ごく一部の例外を別にすれば、企業はほとんど何の準備もしていない。

政府の課題

●財政の問題
長寿化時代の真の課題は無形の資産のマネジメントであり、この点については各国政府の対策は遅れを取っている場合が多い。
ピリオド平均寿命をもとに予測をたてている政府は、将来の国家財政の負担を軽く見てしまい、問題の深刻さを国民に十分に伝えられいない。
●3ステージの前提から脱却
現在の制度や政策の多くは、年齢が大きな意味を持つ3ステージの人生を前提にしている。
3ステージの人生からマルチステージの人生へ移行が進めば、資金計画のあり方が変わ理、金融商品も変わる。それに合わせて、政府の規制も大きく変わらざるを得ない。
●既存の分類は役に立たない
政府はもっと多様な生き方と働き方を受け入れなくてはならない。
政府が取り組むべき課題は、複雑で多岐にわたる。
●不平等という試練
豊かな人は、貧しい人よりかなり長く生きている。誰もが100歳まで生きるのではない。
100年ライフを厄災ではなく恩恵にしたければ、自分についての知識、スキルと教育、移行を成功させるための資金、雇用主との交渉力がなくてはならない。
現状では、不平等の解消に向けた社会政策はお金の問題が中心になっている。しかし、寿命が長くなれば、格差是正策をもっと幅広いものにする必要がある。
●なぜ、変化は遅いのか?
長寿化の時代に社会に訪れる変化の大きさと、企業や政府が打ち出す対応の規模の小ささの落差があまりにも大きい。
●変化の担い手は?
変化の担い手になるのは、企業でもなければ政府でもない。その担い手は私たちだ。


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